Actualités - GCC便り
コルシカDomaine Pinelliのホームパーティー
6月はじめの日曜日、マリ-シャルロット・ピネリさんのホームパーティに招かれた*。ピネリさんは、コルシカ・パトリモニオ地方で葡萄を育てワインを醸造するDomaine Pinelliの若きオーナー。「庭で葡萄畑を眺めながらランチ、のつもりだったけれど、空模様があやしいから」と醸造所の一室に案内された。テーブルが綺麗に用意されている。メニューは
- 豚の頬肉のリエット Vermentinu(白)
- サラミ Sciacarello(赤)
- カラスミ入り炒り卵 Rosé(ロゼ)
- 仔牛のワイン煮込み Niellucciu(赤)
- チーズの盛り合わせ Muscat(白)
- ミントをきかせた苺スープ
頬肉のリエット(Tête de fromage)には驚かされた。Tête料理の認識を覆す美味しさ。ピネリさんのふくよかなVermentinuと合う。付け合わせのソラマメとグリーンピースも嬉しい。コルシカでは旬の時期にはよくマメを使うそうで、そういえばあちこちでマメたっぷりの付け合わせが出てきた。
サラミは塩気が薄くやさしい味。これが軽めのSciacarelloと合う。Sciacarelloはサクランボとプラムの香りがさわやかで、アペリティフ向きと納得。
炒り卵はモチモチと半熟に出来ており、細かく切ったカラスミがどっさり混ざっている。魚卵をワインに合わせるのは至難と考えていたが、このロゼとの組み合わせは絶妙。
仔牛のワイン煮込み(Ragoût)は山盛りのポレンタと一緒に出てきた。Niellucciu 100%のCampo Vecchioの豊かな果実味となめらかなタンニンに、初めて飲んだ時の感激が蘇る。優しい口当たりと仔牛の赤ワイン煮込みのテンションが合う。
コルシカチーズの盛り合わせにはMuscat。ピネリさんのMuscatは、糖度が十分上がるまで待って収穫した葡萄をワイン製法で醸造している。いわゆるMuscatのように重くなくベタつかない。初めて訪れた2年前にも、Muscatを試飲する時にわざわざチーズを切ってきてくれた。ピネリさん一押しの食し方。
デザートの苺スープは、庭に自生しているミントが隠し味。コルシカの苺は、ガリゲットに負けていない。
地元料理と自作のワイン、さすがの組み合わせで思い切り楽しませてもらった。
*2022年6月と2023年6月のGCC便りをご覧ください。
(須藤)
須藤 秀章
1986年にAcadémie du Vinでワインに開眼。CIDDのAlain Segel氏によるワインと料理の組み合わせ(Mariage)に感動して以後、自らも垂直試飲・平行試飲を中心とする比較試飲会を企画。在パリのワイン愛好者が集まっての試飲会を1991年にGrand Cru Clubと名付ける。
1995年より日本でも試飲会を開催。パリでの試飲会にワイン生産者を招いたり、産地を訪問して葡萄の生育や醸造への理解を深めるツアーを企画したり、ワインのもたらす楽しみを少しでも多くの人と分かち合うために情熱を傾けている。