Actualités - GCC便り
シャンパーニュのアンドレ・ロベール訪問
シャンパーニュAndré Robertは、Côte des Blancs(白い丘の意 )地区のLe Mesnil-sur-Oger(グランクリュ村)にある。石灰岩土壌の丘が地下の水分と熱を程よく保って、シャルドネ種のポテンシャルを引き出す。
今回の目的はTerre du Mesnil 2017 (Blanc de blancs, Extra brut)とRosé de Vignes (Extra brut)の試飲だったが…。
Terre du Mesnil 2017は、平均12年の古樽で澱の上で熟成8ヶ月、乳酸発酵はせず、6~8年瓶熟成してから市場に出す。樽熟からの程良いバニラ香に誘われるまま口にすると、横の膨らみを感じながらミネラルが味わいを長く喉の奥まで運んでくれる。果実の味わいはまだおとなしく、酸、アルコール、泡感が支配的だが、2ー3年で飲み頃になりそう。寿命20~30年は余裕でしょう!
ペアリングは、8度でアペリティフ、10度で魚介類&ソースやフライ、カルパッチョなら柑橘系がマッチ。12度で白系肉や海産物のグラタンと。
続いて、Les Jardins du Mesnil (Brut nature) 。ミネラル感が抜群で突き刺さるように真っ直ぐなアタック。白亜質からの塩味(ナトリウム)とキレのある酸で飽きずに楽しめる。30分前の抜栓もしくはカラフェでどうぞ。
ペアリングは8度ならアペリティフ、貝類のカルパッチョ柑橘系ドレッシング、10度で魚の塩焼等とどうぞ。
Rosé de Vignesは半年前「ドザージュ4gのロゼを作ったから飲んでみて」と出されて、3月に澱抜きしたばかりの瓶から試飲した。その時既に十分美味しく、華やかな香りなのに味はすっきりと雑味なく出来ていた。「澱抜きの後半年は寝かせないと市場に出せない」の言葉通り、さらに完成度が上がっていて、さすが。色合いはやや濃いめのロゼだが、高価な苺感から鼻腔まで届く程奥行きのある香りで品の良さを感じる。アタックはエクストラブリュットだけにストレートだが幅もあり、ミネラルが喉の奥まで苺を連れてきて余韻が15秒以上続く。配合は、シャルドネ50%、ムニエ25%。ピノノワール25%。
ここで醸造長登場。「うちのムニエならドザージュをもっと減らす方がその力強さを生かせると思って、今度はドザージュ2.5gのロゼを作っている」そう。ドザージュ4gから2.5gに、さらに攻めたロゼにも期待!
…と、醸造長が奥から大事そうに「MIZU」と手書きされた瓶を運んできた。日本のミズナラの木で日本の職人に造らせた樽で、最高の区画で収穫した葡萄だけで醸造したワインを熟成中とのこと。自慢げに味見させてくれる。今まで香ったことのない凛とした燻した樽香。新樽なはずだが、樽が強過ぎず、シャルドネの香りも味もふくよかに出ている。まだまだ閉じているが凝縮感と余韻の長さに生まれと育ちの良さが感じられる。「よい区画のシャルドネだから、あと2年位熟成させたらもっともっと力を発揮すると思う」のでまだ売れないそう。数年先の発売日が楽しみ!
(須藤)
須藤 秀章
1986年にAcadémie du Vinでワインに開眼。CIDDのAlain Segel氏によるワインと料理の組み合わせ(Mariage)に感動して以後、自らも垂直試飲・平行試飲を中心とする比較試飲会を企画。在パリのワイン愛好者が集まっての試飲会を1991年にGrand Cru Clubと名付ける。
1995年より日本でも試飲会を開催。パリでの試飲会にワイン生産者を招いたり、産地を訪問して葡萄の生育や醸造への理解を深めるツアーを企画したり、ワインのもたらす楽しみを少しでも多くの人と分かち合うために情熱を傾けている。